余部(あまるべ)鉄橋

連れ合いの生まれ育った家は、余部鉄橋の斜め下にあります。長さ309m、高さ41.45m、東洋一のトレッスル式橋は明治45年に完成。一世紀近くの間、集落の歴史を見守ってきました。その迫力と美しさで旅びとや鉄道ファンを魅了し続けてきた鉄橋が、姿を消そうとしています。

旧国鉄のお座敷列車転落事故(18年前、結婚後初めて帰省する日のことでした)以後、風速20mを越えると運行中止の安全策がとられていますが、そのため運休を余儀なくされる列車は年間100本前後。このことが城崎~鳥取駅間を一ローカル線に転落させた要因のひとつといわれ、さらに塗装など莫大な維持費がかかることから、コンクリート橋梁への架け替えが決定されました。

村びと総出でつくったという駅。そこに至る山道は、住人の大半を占めるお年寄りには過酷なほど急だし、列車が通るたびに轟音で家の中のすべての音が消されてしまう(たまには空から人が降ってくることも)。それでも不自由をいう人はいません。鉄橋は余部の誇りでした。

誰かが「力のないもんにはどうすることもでけん」と、ぽつり。ふるさとを離れて暮らす人びとの胸中もまた複雑です。“よそもん”の嫁は地元、そして県や国が失ってしまうものの価値について思案中・・・。

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