
学校における「香害」および化学物質過敏症対策に向けた要望
提出先:文部科学大臣 阿部俊子 様
提出日:令和7年8月20日
要望団体:香害をなくす議員の会、香害をなくす連絡会
香料入り洗剤・柔軟剤などの身近な生活用品から発せられる化学物質によって、頭痛・吐き気・倦怠感・動悸・呼吸困難などの症状を引き起こされるケースが増加し、社会問題となっています。最近では抗菌消臭成分を配合した製品による「香害」も増え、全国で患者数が100万人以上とされる化学物質過敏症の入口となる可能性が指摘されています。
とりわけ成長過程にある子どもたちにとって、化学物質への曝露は将来的な健康リスクの要因となるため、学校環境における予防的対応が極めて重要です。2024年度に日本臨床環境医学会・環境過敏症分科会および室内環境学会・環境過敏症分科会が、全国約1万人の児童生徒を対象に行った「子どもの『香害』および環境過敏症状に関する実態調査」の結果、学校で香害による体調不良を起こしたことがある子どもの割合は約10%にのぼり、約2%は香害のために不登校傾向にあることが判明しています。
教育機関には、すべての子どもたちの心身の健康を守り、「学ぶ権利」を保障する責任があります。現状を看過し、手を打たずにいることは、教育の公平性を損なうことにつながります。
「新しいシックスクール問題」と言える香害による健康障害から子どもたちを守るため、学校をフレグランスフリーな空間に整えていくことを目ざし、下記の事項について、貴省から全国の自治体および教育委員会に対する積極的な指導と対応を要望いたします。
〈要望事項〉
1.化学物質過敏症(香害を含む)に関する全国的な実態調査の実施
教育現場における影響の把握と、科学的データに基づく施策の基盤整備。
2.学校内での香り製品使用に関するガイドラインの策定
香料・抗菌消臭成分入り洗剤・柔軟剤、香料製品の使用を控える指導の明文化と徹底。
3.教職員・保護者・児童生徒への教育・啓発活動の強化
香害の健康影響に関する理解を促進し、配慮の文化を醸成。
4.香害による健康被害を受けた児童生徒への配慮策の推進
換気の徹底と、座席配置やマスク着用支援などの柔軟な対応。
5.給食用白衣の家庭洗濯に関する指導の徹底
香料・抗菌消臭成分入り洗剤・柔軟剤の使用回避の周知と、衛生管理への配慮。
6.保健調査票への項目追加
香害を含む化学物質過敏症に関する記述を加え、現場対応の参考とする。
7.「健康的な学習環境を維持管理するために―学校における化学物質による健康障害に関する参考資料―」の改訂
カーテン等の備品・衛生用品・生活用品等に関する対応指針を盛り込み、「香害」への言及を明確化。あわせて、自治体シックスクールマニュアル等への加筆も指導。
8.教育環境の空気質の把握と改善支援
子どもが在室する状態での教室内空気質測定と浮遊粉じん検査の段階的な制度化。測定値や過去との比較に基づく検証と、必要な対策の実施および教育現場への支援を進める。
〈結びに〉
子どもたちが安心・安全な環境で健やかに学び、育つことができる教育現場の実現は、国民すべての願いであり、国の未来を担う重要課題です。香害による健康被害と学習阻害を見過ごすことなく、文部科学省におかれましては、制度的・実務的両面において早急かつ的確な対応を賜りますよう、切にお願い申し上げます。




