
毎年この日、ライトアップされた石積みの「生」を眺めながら、私は震災で亡くなった若い友人のことを思い浮かべる。
会社の同僚だった、いのくまちゃん。人事担当だった彼女とは、育児休暇中に社内報への投稿記事を頼まれたのがきっかけで、復帰後もお茶したり、買い物に行ったりするようになった。子ども好きで、息子をよくかわいがってくれた。
会社の同僚だった、いのくまちゃん。人事担当だった彼女とは、育児休暇中に社内報への投稿記事を頼まれたのがきっかけで、復帰後もお茶したり、買い物に行ったりするようになった。子ども好きで、息子をよくかわいがってくれた。
あの3連休にいのくまちゃんは、2歳になったばかりの息子に会いたいと、うちに遊びにきてくれたのだ。まさかそれが最後になるなんて――。
灘区の自宅が倒壊して4人家族で彼女だけが命を落とした。棺が間に合わず、同期の友人が用意した新しいスーツに身を包んで荼毘に付された。
4日目にようやく通じた社からの電話でそう聞いたとき、私は「梅田の百貨店はふつうに営業してるんだ」と妙に感心してしまって、涙も出なかった。あまりのことに感情が麻痺していたんだと思う。
笑顔しか見たことがない。しょっちゅう不機嫌な私たち記者と違って。だれからも愛される人だった。
享年26歳。いのくまちゃんにはどれ程のしあわせが待っていたことだろう。
先月あの子があなたの歳を越えました。




