
1996年に、法務大臣の諮問機関である法制審議会が、選択的夫婦別姓制度の導入を含む民法改正案を答申しました。当時は国民の間に様々な意見があったことから改正案の提出には至らず、議論がその後30年も平行線のまま進められずに来たことはご承知のとおりです。しかし今般、ライフスタイルや価値観の多様化とともに世論も変化し、選択的夫婦別姓制度の早期導入を求める声がこれまでにない高まりをみせています。
その背景について、まず国際的な視点です。
国連の女性差別撤廃委員会は昨年10月29日、日本政府に対して選択的夫婦別姓制度を導入するよう、4度目の勧告を行いました。夫婦同姓を強制している国は日本だけ。「どちらか一方の姓」といっても、妻が夫の姓に変えるケースが96%、改姓に伴う負担やリスクが女性に偏り、社会での活躍に性差が生じるようでは真の男女平等社会とは言えません。わが国はジェンダー平等をめざし、国際基準に沿った法整備を行う必要があります。
2つめは、法曹界や経済界からの要請です。
日本経済団体連合会は2024年1月に選択的夫婦別姓制度の導入を政府に提言しました。国際機関や在外企業で働く、また海外に出張する女性たちが、旧姓の通称使用では解決できない深刻な問題に直面していることがわかってきたからです。
具体的にはパスポートやビザの戸籍名と通称が異なるため、不正が疑われたり、税手続きや銀行口座の開設等ができなかったり、同一性が認められにくく、研究者などのキャリアが分断されてしまったり。これは女性が活動する上で大きな足かせとなるだけでなく、企業にとってもビジネス上のリスクであり、経済損失となります。経団連の公式サイトには、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた民法改正の早期実現が時代の要請であると明記されています。
3つめは、子どもへの影響や家族の一体感を損なうとの懸念に対して。
先の委員会でも「親子の姓が異なると子どもがかわいそうでは」との問いかけがありましたが、現在でも事実婚、国際結婚、離婚、再婚家庭など親子の姓が異なる家族はふつうに存在しており、「かわいそう」と決めつけるのは不適切です。すでに家族のカタチは多様なのです。家族の愛情や絆は姓が一致しているかどうかではなく、日々の関わりや支え合いによって築かれるものと家族社会学者は口を揃え、同姓・別姓と離婚率等の関係を示す根拠も見つかっていません。
「伝統的家族観」といわれますが、「光る君へ」の時代も、源頼朝・平政子の時代も、その後も、日本はずっと夫婦別姓だったのです。
最後に、選択的夫婦別姓制度の導入は、家族の絆に悪影響を与えるどころか、社会全体の多様性を尊重し、経済的な自由やキャリア形成を促進する重要なステップであると結論できます。
私たちは、うちはこうだ、自分は困っていないというレベルの話ではなく、いま壁にぶつかっている女性たちや次の世代のことを思い、人生の選択肢を増やしておくための一歩を踏み出さなければなりません。
夫婦が同等の権利を有するという憲法第24条に照らして、姓を変えることも変えないことも自由に選べる社会となることが求められています。選択的夫婦別姓訴訟においても、最高裁判所は国会での解決を要請しています。社会の流れの中で早期法制化に向けた議論の促進は、もう待ったなし。議論を止めてはなりません。
以上、選択的夫婦別姓制度の早期法制化に向け、議論の促進を求める請願に賛成いたします。




