株式会社文化放送 代表取締役 田中博之様
香害をなくす議員の会(都道府県・市区町村議員166名/2026年2月現在)
公共性を有する放送として看過できない問題について
拝啓
平素より、放送事業の健全な運営にご尽力されていることに敬意を表します。
私たち「香害をなくす議員の会」は、香り付き柔軟剤や消臭スプレー等に含まれる化学物質による健康被害、いわゆる「香害」問題に取り組む自治体議員のネットワークです。
現在、全国166名の地方議員が参加し、自治体・国に対しては啓発や実態把握の推進、制度的対応の検討を求め、メーカーに対しては製造方法の見直し等を働きかけています。
このたび、貴局が2026年8月5日に放送した「おはよう寺ちゃん」において、ゲスト出演した医師・村中璃子氏による発言が、香害および化学物質過敏症に起因する健康被害の実態を否定し、事実と異なる情報を含む内容であったことに対し、強い憤りと深刻な危惧を抱いております。
■ 専門家選定の妥当性と事前確認体制について
村中氏は、香害や化学物質過敏症に関して、過去から偏った見解を繰り返し発信してきた人物で、その発言内容には医学的・科学的な裏付けを欠くものが散見されます。こうした情報は公開情報から容易に確認できるものであり、貴局が専門家として起用するにあたり、事前に把握できたはずの性質のものです。
にもかかわらず、医療情報の解説役として同氏を起用し、事前チェックが十分に機能していたとは言い難い状況で放送が行われたことは、公共性を有する放送事業者として極めて不適切であると考えます。
■ 社会的弱者への影響を軽視した制作姿勢
香害や化学物質過敏症は、自治体の相談窓口や議会でも継続的に取り上げられている現実の健康問題であり、勉学や就労をはじめ、日常生活全般にわたって支障をきたす事例が多数報告されています。
そのような状況下で、センセーショナルな言説を優先した構成により、被害者の苦境を矮小化し、社会的弱者をさらに追い詰める結果となったことは看過できません。
公共性を有する放送事業者は、社会的弱者を傷つけることのない姿勢を堅持すべきであり、今回の放送はその原則に反するものと考えます。
■ 行政・教育現場への悪影響と公的調査の軽視について
当会の議員が所属する複数の自治体では、子どもたちの健康影響について調査を行い、学校園での対応に努めているほか、全国規模での学術調査にも協力してきました。これらの調査は、公的機関が関与し、教育現場の実情を丁寧に把握するために行われたものであり、行政としての信頼性を備えたものです。
番組でこれらの調査結果まで否定されたことは、行政の取り組みや教育現場の努力を蔑ろにするものであり、極めて遺憾です。公的調査の信頼性を損なう発言は、行政と市民の間に不必要な混乱や不信を生じさせ、政策推進の妨げとなります。
■ 政策形成への悪影響と放送倫理上の問題
当会は、文部科学省をはじめ関係省庁にも働きかけ、香害問題の啓発にとどまらず、具体的な制度対応を求めています。その過程で誤った情報が広く拡散されれば、市民の誤解・偏見の助長、分断、行政判断の混乱、制度整備の遅延、被害者へのさらなる社会的困難の増大といった深刻な影響が生じます。
放送内容が社会に与える影響の大きさを踏まえれば、今回の放送は極めて重大な問題であると言わざるを得ません。
香害によって学校に通えなくなっている子どもたちや、大規模災害時に避難所への避難をためらう被災者の窮状は、自治体の相談窓口にも多数寄せられています。こうした声に十分に配慮されなかったことは、極めて遺憾です。
■ 当会として求める対応
(1)社内調査の実施と結果の公表
番組制作過程における事前確認体制、専門家選定の基準、誤情報が放送された経緯について、調査と説明を求めます。
(2)番組内での訂正および謝罪の放送
誤情報が広く拡散されたことを踏まえ、速やかな訂正と謝罪を求めます。
(3)アーカイブの削除または訂正付き再公開
誤情報の拡散防止のため、適切な対応を求めます。
(4)専門家選定基準および制作体制の改善
医療・化学物質に関する放送は、専門性と慎重さが不可欠です。再発防止策として、専門家選定の基準や事前チェック体制の強化を求めます。
■ 結び
香害問題は、行政・議会・市民が協力して解決を目指すべき公共的課題です。 貴局におかれましても、社会的弱者を傷つけ、追い詰めることのない放送姿勢を改めて確認いただき、今回の件について誠意ある対応をお願い申し上げます。
なお、本抗議文へのご回答は、当会として公表させていただきます。 ご回答は 2026年8月22日まで に下記寺本宛にお願いいたします。
敬具
香害をなくす議員の会代表
寺本さなえ(兵庫県宝塚市議会議員)




